歯科医院のSNS投稿の院内フロー。テーマ・担当・頻度・コメント対応の決め方
医院のSNSの投稿を、診療の合間でも続けられるように。テーマの選び方、作る人と承認する人の分け方、無理のない頻度と投稿予定表、コメントへの対応、アカウントの管理、振り返りの記録を、厚生労働省の医療広告等ガイドラインをもとに、院長・事務長が院内で使える形でまとめました。

この記事の要点
- テーマは、休診・予約方法など事実を確かめられる案内から選ぶ。
- 下書きは公開前の確認項目で確かめ、承認を得てから公開する。
- 回数は、承認まで回せて情報を正確に保てる範囲で決める。
先に結論:流れを決めてから投稿する
この記事は、医院のSNSアカウントで投稿を続けたいものの、診療の合間では手が回らない、担当者によって内容がばらつくと感じている院長・事務長のためのものです。投稿のたびに考えるのではなく、次の流れを先に決めておきます。
- 投稿テーマを、休診・予約方法など、院内の資料で事実を確かめられる案内から選ぶ
- 発信の担当者が下書きを作り、元にした資料を添える
- 公開前の確認項目で確かめ、事務長(治療に触れる内容は院長)が承認する
- 予定日に公開し、患者が見る画面で表示を確かめる
- コメントへの対応と、作成・確認にかかった時間を記録し、次の予定に生かす
この記事が扱うのは、投稿のテーマ選び、担当と流れ、頻度、コメントへの対応、アカウントの管理、振り返りです。1本の投稿の事実・素材・表現を公開前に確かめるチェック表は「説明文・SNS投稿を公開する前の確認項目」、医療広告ガイドラインの全体像は「医療広告ガイドラインの基本」、Googleビジネスプロフィールを含む更新全体の担当と権限は「医院情報の更新の分担」の記事で扱っています。
この流れは、フォロワーや来院が増えることを約束するものではありません。記事末でご案内している無料レポートは、公開されている掲載情報(医院名・所在地・電話番号・診療時間など)を媒体ごとに照らし合わせるもので、SNSの投稿の内容や表現を確認するものではありません。
投稿テーマは院内の案内から選ぶ
毎回新しい企画を考えるより、医院ですでに患者に案内している内容から選ぶと、元にする資料があるため事実を確かめやすくなります。次の表は、テーマと元にする資料、承認者の例です。承認者は「医院情報の更新の分担」の担当表のモデル(治療に触れる内容は院長、それ以外は事務長)に合わせています。
| テーマ | 元にする院内の資料 | 承認者 |
|---|---|---|
| 休診・診療時間の変更のお知らせ | 基準表(院内で決めた診療日・診療時間) | 事務長 |
| 予約方法・受付の案内 | 基準表、予約システムの受付時間 | 事務長 |
| 院内の様子(待合室・駐車場・バリアフリーなど) | 自院で撮影した写真と、設備の今の状態 | 事務長 |
| スタッフ募集 | 院内で決めた求人の条件 | 事務長 |
| 診療内容の説明 | 公式サイトの診療ページ、院内の説明資料 | 院長 |
| 歯みがきなど、日ごろの口の手入れの説明 | 院内で患者に渡している説明資料 | 院長 |
厚生労働省の医療広告等ガイドラインでは、医院の建物の写真は、自院の写真であれば広告できるとされ、ほかの医院の写真は認められないとされています(第2の3)。職員の採用を目的とした求人広告は、受診を誘う意図がないため、ガイドラインの対象となる広告ではないとされています(第2の5(5))。院内では、求人の投稿に診療内容の紹介を加えるときは、その部分を院長が確かめます。
院内の掲示や院内で配るパンフレットは、受け手が受診中の患者に限られるため、通常は広告に当たらないとされています(第2の5(4))。SNSの投稿は受け手が患者に限られないため、院内の掲示物を投稿に使うときも、公開前の確認項目で確かめます。
SNSの投稿で特に確かめたいテーマは次のとおりです。医院が、患者の体験談を医院への受診を誘う目的で紹介することは、禁止される体験談の広告とされています(第3-1の1(6))。患者が個人のSNSに書いた医院についての投稿を、医院のアカウントで共有・紹介しません。また、医院や歯科医師が新聞や雑誌で紹介された旨は、広告できる事項ではないとされています(第2の3)。
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
1回の投稿の流れと担当
1本の投稿は、計画から表示の確認までを1回の作業とします。作る人と承認する人を分け、承認前に公開しません。
| 段階 | する人 | すること | 終わりの目安 |
|---|---|---|---|
| 計画 | 発信の担当者 | 投稿予定表に、テーマ・元にする資料・承認者・投稿予定日を書く | 承認者が予定を把握している |
| 下書き | 発信の担当者 | 元にする資料をもとに文章と画像を作る。AIで作った文章案も下書きとして扱う | 元にした資料を下書きに添えた |
| 公開前の確認 | 発信の担当者・承認者 | 「説明文・SNS投稿を公開する前の確認項目」のチェック表で、事実・素材・表現・承認を確かめる | チェック表の項目を確かめた |
| 承認 | 事務長(治療に触れる内容は院長) | 内容を確かめ、承認者と承認日を記録する | 投稿する日の前に確認を終えた |
| 公開と表示の確認 | 発信の担当者 | 予定日に公開し、患者が見る画面で文章・画像・リンクを確かめる | 表示を確かめた日を記録した |
表の承認者と「投稿する日の前に確認を終える」という期限は、「医院情報の更新の分担」の担当表のモデルと同じです。公開前に何を確かめるかは、ここでは繰り返さず、公開前の確認項目の記事のチェック表を使います。
医療広告等ガイドラインでは、依頼を受けて広告を企画・制作する広告代理店なども、違反があった場合は依頼した側とともに指導等の対象となり得るとされています(第2の6(2))。投稿を業者に作ってもらう場合も、同じ流れで医院が承認してから公開します。
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
続けられる頻度と投稿予定表
この記事では、投稿の回数の目安を示しません。回数は、承認者が確かめられ、休診や診療時間の案内を正確に保てる範囲で、院内で決めます。決めるときは、次の順で考えます。
- 先に決まっている案内を入れる:休診・診療時間の変更・年末年始など、日付が決まった案内は、決まった時点で予定表に入れる
- 承認できる回数にする:治療に触れる投稿は院長の確認が要るため、院長の確認日を決められる回数だけ予定に入れる
- 急ぎのお知らせの経路を決める:急な休診は予定表とは別に、事務長が日付と時間を確かめてから公開する
- 空いた週を無理に埋めない:テーマが決まらない週は投稿せず、プロフィール欄と固定しているお知らせが今の情報かを確かめる
| 投稿予定日 | テーマ | 作る人 | 承認者 | 元にする資料 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-11-02 | 11月20日の休診のお知らせ | 受付の担当者 | 事務長 | 基準表の臨時の休診 |
| 2026-11-09 | 歯みがきの説明 | 発信の担当者 | 院長 | 院内で患者に渡している説明資料 |
| 2026-11-16 | スタッフ募集 | 発信の担当者 | 事務長 | 院内で決めた求人の条件 |
| 2026-11-30 | 年末年始の休診のお知らせ | 受付の担当者 | 事務長 | 基準表の年末年始の休診 |
予定表の例は、架空の医院「みどり台歯科クリニック(架空)」を想定したものです。日付・担当はすべて説明用で、実在の医院の予定ではありません。
SNSのプロフィール欄や固定しているお知らせに、終わった休診の案内や古い診療時間が残っていないかも、予定表を作るときに確かめます。SNSのプロフィールを含む掲載先全体の確認は「掲載情報の確認ガイド」で扱っています。
コメント・メッセージへの対応
投稿へのコメントや医院あてのメッセージには、内容で対応を分けます。コメントは誰でも読めるため、公開の場で個別の症状や診療内容、受診の有無に触れません。次の表は、院内で決めておく対応の例です。コメントの内容はすべて架空のもので、実在の医院に届いたものではありません。
| コメント・メッセージの内容 | 分類 | 対応 |
|---|---|---|
| 「土曜は何時まで診療していますか」など、診療時間・予約方法の質問 | 公開で答える | 基準表と照らし合わせ、基準表の内容で答える |
| 「この歯の痛みは虫歯でしょうか」など、症状や治療の個別の相談 | 窓口へ案内する | 個別の症状や診療内容に触れず、電話か来院でご相談を伺うと案内する |
| 「先日の治療の費用が高かった」など、受診や治療に触れた不満 | 院内で確かめてから答える | 受診の有無に触れず、事務長が院内で事実を確かめ、院長が決めた対応を書いて答える |
| ほかの人の氏名など、個人情報を含むコメント | 保留する | 公開で答えず、院長が対応を決めるまで記録して残す |
返信の文章も医院の名前で公開されるため、投稿と同じく、治療の効果や割引・特典に触れていないかを確かめてから送ります。Googleの口コミへの返信は、Googleのポリシーとあわせて「口コミ返信を院内で確認する手順」の記事で扱っています。
アカウントの管理と引き継ぎ
担当者だけがログインの情報を知っていると、退職や交代のときに医院で投稿や修正ができなくなることがあります。アカウントの仕組みはサービスごとに違うため、次は院内で決めておくことの例です。各サービスでの設定方法は、それぞれの公式のヘルプで確かめます。
- ログインの情報:医院で管理するメールアドレスで登録し、院長か事務長もログインの情報を把握する。担当者の個人のアカウントだけで管理しない
- 投稿できる人:投稿できる人を記録し、承認前に公開しない決まりを伝える
- 退職・交代のとき:後任が操作できることを確かめてから、前の担当者が使っていたパスワードなどを変える
- 業者に任せるとき:業者がログインの情報を持つ場合は、契約が終わったときに医院で引き継げるかを先に確かめる
Googleビジネスプロフィールの投稿は、SNSと違い、オーナーと管理者の役割で権限を分けます。役割の分け方と引き継ぎの手順は「医院情報の更新の分担」の記事で扱っています。
振り返りの記録
振り返りでは、反応の数だけで判断せず、作成と確認にかかった時間と、公開後に見つかった誤りを記録します。続けられない工程や、誤りが出やすいテーマを見つけ、次の予定に生かすためです。この記事では、フォロワーや反応の数を増やす方法は扱いません。
| 公開日 | テーマ | 作成・確認の時間 | 公開後に見つかった誤り | 次の回への変更 |
|---|---|---|---|---|
| 2026-10-05 | 11月20日の休診のお知らせ | 作成15分・確認5分 | なし | なし(同じ手順で続ける) |
| 2026-10-12 | 歯みがきの説明 | 作成40分・確認30分 | なし | 院長の確認日を、予定表で先に決める |
| 2026-10-19 | スタッフ募集 | 作成20分・確認10分 | 求人ページのURLが古かった(2026-10-19に修正) | 元にする資料に、求人ページのURLを加える |
記録の例は、架空の医院「みどり台歯科クリニック(架空)」を想定したものです。時間と内容はすべて説明用で、実在の医院の記録ではありません。
作成や確認に時間がかかりすぎるテーマは、回数を減らすか、元にする資料を先に整えるかを、院長と事務長で決めます。
自院・業者・保留の分かれ目
SNSの投稿は、誰が作って公開しているかと、院内で答えが決まっているかで次の行動が変わります。
- 自院で進める:休診・予約方法など、基準表で事実を確かめられる案内の投稿と、医院でログインの情報を管理しているアカウントの運用
- 今の業者に確認する:投稿の作成や公開を業者に任せている場合。承認前に公開しないこと、元にした資料を添えること、ログインの情報を医院でも把握できることが、依頼の範囲に入っているかを確かめる
- 保留する:治療の効果に触れる投稿や、外部の人に医院のことを投稿してもらう依頼など、院内で判断がつかないもの。推測で公開せず、院長が判断するまで下書きのまま残す
外部の人に投稿を依頼する場合は、医療広告と景品表示法の両方に関わります。医療広告等ガイドラインでは、広告と気付かれないように行う、いわゆるステルスマーケティングも、医院が広告料などを負担して掲載を依頼しているなどの場合は広告として扱うことが適当な場合があるとされています(第2の2)。患者などが個人のSNSに書いた体験談は、通常は広告に当たりませんが、医院からの依頼にもとづく場合、医院から金銭などの謝礼を受けている・約束がある場合、医院が費用を負担して掲載を依頼している場合、投稿した人が医院の経営に関わる人の家族等で医院の利益のためと認められる場合は、受診を誘う意図があるものとして扱われます(第2の5(3)、第3-1の1(6))。
消費者庁は、令和5年10月1日から、広告であるにもかかわらず広告であることを隠す表示(ステルスマーケティング)を景品表示法で規制しており、規制の対象は広告主とされています。依頼するかどうかは、院長が判断するまで保留します。
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)、消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」
出典・編集について
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正) ↗確認日:
- 消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」 ↗確認日:
本記事は情報整理のためのガイドで、法的・医療的助言ではありません。制度、広告表現、各サービスの仕様は、公開時点の公式情報と医院の実情に合わせてご確認ください。
更新履歴
- :タイトルと見出しを短くしました。
- :写真・図を追加しました。
- :3節の短い記事を、厚生労働省の医療広告等ガイドラインと消費者庁の資料で確かめて改稿しました。投稿テーマと元にする資料の例、1回の投稿の流れと担当、頻度の決め方と投稿予定表、コメント・メッセージの対応、アカウントの管理、振り返りの記録(いずれも架空の医院の例)、自院・業者・保留の分かれ目を加え、出典と確認日を追加しました。公開前のチェック表と担当・権限の詳しい説明は、関連記事への案内にまとめました。