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歯科医院の説明文・SNS投稿、公開前に確かめる事実・素材・表現・承認

Googleビジネスプロフィールの説明文、公式サイトの文章、SNSやGoogleの投稿。AIや業者が作った案も含めて、公開する前に何を確かめ、誰が承認するか。医療広告ガイドラインの公式資料をもとに、院内で使えるチェック表と判断の例をまとめました。

歯科医院のスタッフ2人が、公開前の原稿を机上で確認している。
公開前の原稿を確認する場面(イメージ)

この記事の要点

  • 投稿案は、事実・素材・表現・承認の4つを確かめてから公開する。
  • 治療の内容や効果についての患者の体験談は、医院の発信に使わない。
  • 術前術後の写真は、限定解除の要件と詳しい説明がそろうまで載せない。
01

先に結論:4つの観点で確かめて公開する

この記事は、Googleビジネスプロフィールの説明文、公式サイトの文章、SNSやGoogleの投稿を公開する前に、院内で何を確かめればよいかを知りたい院長・事務長のためのものです。AIで作った文章案や、制作会社などの業者が作った原稿も対象です。公開する前に、次の4つを順に確かめます。

事実や素材に問題があれば修正して再確認し、表現は書き換えて承認者が再確認する。判断できなければ保留し、問題がなければ承認後に公開する。
公開前の問題別の戻り先
  1. 事実:日付・診療時間・費用・数字が、院内の基準や資料と同じか
  2. 素材:写真やイラストが自院のもので、患者などの個人が分かるものが写っていないか
  3. 表現:体験談・比較・誇大な表現・費用の強調など、医療広告ガイドラインで認められない表現がないか
  4. 承認:決めた承認者が内容を確かめ、確認日を記録したか

このチェック表は、院内で公開前に確かめるための目安です。個別の表現が法令に適合するかを判断するものではありません。判断がつかない表現は公開せずに保留し、院長が判断します。

医療広告ガイドラインで何が禁止されているかの全体像は「医療広告ガイドラインの基本」、投稿のテーマ選びや頻度は「SNS投稿の院内フロー」、更新ごとの作業・承認・権限の分け方は「医院情報の更新の分担」の記事で扱っています。この記事は、1本の文章を公開する直前の確認に絞っています。

02

医院の投稿・説明文も広告になり得る

厚生労働省の医療広告等ガイドラインでは、患者の受診等を誘引する意図があること(誘引性)、医院の名称などが特定できること(特定性)、歯科医業や診療所に関する内容であることの3つをすべて満たすものを医療広告と判断するとしています。広告に当たる媒体の例には、チラシや看板のほか、Eメールやインターネット上の広告等も挙げられています。医院のアカウントから出す投稿や、医院が書く説明文も、この3つに当てはまれば規制の対象になり得るものとして確かめます。

  • 医院が自らのウェブサイト等に載せる、治療等の内容や効果に関する体験談は広告に当たり、そのうえで禁止される
  • 患者が自分の体験をもとに、個人のウェブサイトやSNS、口コミサイトに書くものは、医院が費用を負担して掲載を依頼しているなどの誘引性がなければ広告に当たらない
  • 広告と気付かれないように行う、いわゆるステルスマーケティングも、医院が費用を負担して掲載を依頼しているなどの場合は広告として扱われることがある
  • 院内の掲示や院内で配るパンフレットは、受け手が受診中の患者に限られるため、通常は広告に当たらない

ガイドラインは、広告を企画・制作する広告代理店なども、依頼を受けて作る広告が法令やガイドラインに違反していないか十分に留意する必要があり、違反があった場合は広告を依頼した側とともに指導等の対象となり得るとしています。業者やAIが作った原稿でも、公開するのは医院の発信です。

出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)、厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」

03

公開前のチェック表

1本の説明文・投稿ごとに、次の表の項目を上から確かめます。「確かめ方」で答えが出ない項目は、公開せずに保留します。

説明文・投稿の公開前チェック表
観点確認すること確かめ方
事実:日付・時間診療日・診療時間・休診日・受付の締め切りが、今の運用と同じか院内の基準表(掲載情報の確認ガイドで作る表)と照らし合わせる
事実:費用・期間自由診療の費用・治療期間・回数が、院内の料金表や説明資料と同じか料金表・説明資料と照らし合わせる。最低額だけを書いていないか確かめる
事実:数字・実績「〇%」「〇件」などの数字に、根拠と調査方法があるか根拠資料を院長が確かめる。示せない数字は削る
素材:写真・イラスト自院の建物・設備・スタッフの写真か。他院の写真や、効果を思わせるイラストを使っていないか撮影した人と撮影場所を確かめる
素材:写り込み患者の顔・名前、カルテ、予約画面など、個人が分かるものが写っていないか公開する画像を拡大して、背景まで確かめる
素材:術前術後の写真加工・修正していないか。治療内容・費用・主なリスク・副作用の詳しい説明を同じ場所に付けたか次の節の判断例で確かめる。説明がそろわなければ載せない
素材:権利写真・イラスト・文章を使う許可があるか。写っているスタッフが掲載に同意しているか入手元と同意の記録を確かめる
表現:体験談治療の内容や効果についての患者の体験談・感想を載せていないか患者の声・口コミの引用を探し、あれば削る
表現:比較・最上級「日本一」「No.1」「最高」「地域一番」など、他院より優れていると示す表現がないか見つけたら削る
表現:誇大・保証「絶対安全」「必ず」「比較的安全」など、効果を保証したり根拠なく強調したりする表現がないか見つけたら削るか、事実だけの説明に書き換える
表現:費用の強調・特典「今なら〇円」「〇%オフ」「キャンペーン」「プレゼント」で受診を誘っていないか見つけたら削る。費用は通常の料金として示す
表現:媒体の決まりGoogleの説明文なら、全角375文字以内か、URLやHTMLを入れていないか、特別キャンペーンや特別料金を過度に強調していないか次の「Googleの説明文・投稿の決まり」の節で確かめる
承認:承認者治療・費用に触れる内容を院長が確かめたか。それ以外は決めた承認者が確かめたか担当表で承認者を確かめる
承認:記録作った人・承認者・承認日・公開日を記録したか記録表に書いてから公開する

表の「表現」の項目は、医療広告等ガイドラインで禁止される広告(比較優良広告、誇大広告、患者の主観に基づく治療の内容・効果の体験談、誤認させるおそれがある術前術後の写真)と、品位を損ねる広告として挙げられた費用の強調・物品の贈呈をもとにしています。「素材:写り込み」と「素材:権利」は、院内で決めておく確認の例です。

出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)

04

表現の判断例:書き換えるか、そろえるか

次は、投稿案によく出る表現と、公開前の行動の例です。表現はすべて説明用に作った架空のもので、実在の医院の投稿ではありません。「ガイドライン上の扱い」は、医療広告等ガイドラインの記載と例示にもとづいています。

表現の判断例(架空の投稿案)
投稿案の表現ガイドライン上の扱い公開前の行動
「治療を受けた患者さんから『もう痛くない』と喜びの声をいただきました」患者の主観に基づく、治療の内容・効果に関する体験談書き換える:体験談を削り、診療内容の説明にする
「地域No.1の歯科医院」他院より優れていると示す最上級の表現(比較優良広告)書き換える:比較の言葉を削る
「絶対に安全な治療です」医学上あり得ない表現(虚偽広告の例)書き換える:保証の言葉を削り、主なリスクを説明する
「比較的安全な治療です」何と比べたか分からない表現(誇大広告の例)書き換える:比較の言葉を削り、主なリスクを説明する
「今月限定、ホワイトニング50%オフ」費用を強調した広告(品位を損ねる内容の例)書き換える:割引の表現を削り、費用は通常の料金として示す
「初診の方全員にプレゼント」医療の内容と直接関係のない事項による誘引書き換える:特典の表現を削る
術前・術後の写真だけを並べた投稿説明が不十分な術前術後の写真説明をそろえる:限定解除の要件と詳しい説明がそろうまで載せない
「インプラント(自由診療)30万円〜」だけの案内自由診療で、名称と最低限の費用だけを示している説明をそろえる:治療内容・標準的な費用・期間・回数・主なリスクを書くまで載せない
「患者満足度98%」(根拠の記載なし)根拠・調査方法を示していないデータ(虚偽広告として扱う例)保留する:根拠と調査方法を院長が確かめ、示せなければ削る
「11月20日(金)は学会のため休診します」診療日に関する事実のお知らせ事実を確かめて公開する:基準表の日付と照らし合わせる

術前術後の写真(いわゆるビフォーアフター写真)について、ガイドラインは次のように整理しています。治療効果に関する事項は広告できる事項ではないため、限定解除の要件を満たさない場合は、術前術後の写真等は広告できません。限定解除の要件を満たしたうえでも、写真だけを示して説明が不十分なものは認められず、通常必要とされる治療内容、費用等に関する事項や、主なリスク・副作用等に関する事項などの詳しい説明を付ける必要があります。説明は、リンク先の別のページに置いたり、利点に比べて極端に小さな文字にしたりしません。加工・修正した写真や、撮影条件・被写体の状態を変えて効果を強調した写真は、虚偽広告や誇大広告として扱われます。

限定解除の要件は、①患者が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトなどであること、②問い合わせ先を書くこと、③自由診療について通常必要とされる治療内容・費用等の情報を示すこと、④自由診療の主なリスク・副作用等の情報を示すことです(③④は自由診療の情報を示す場合)。インターネットのバナー広告や、検索サイトで費用を払って上位に表示されるものは①を満たさないとされています。ガイドラインの限定解除の説明には、SNSの投稿やGoogleの投稿が①に当たるかは書かれていません。判断がつかない場合は載せず、院長が判断します。

出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)

05

Googleの説明文・投稿の決まり

Googleビジネスプロフィールの説明文と投稿には、医療広告ガイドラインとは別に、Googleの決まりがあります。公開する前に、次のことも確かめます。

  • 説明文の長さ:全角375文字(半角750文字)以内にする
  • 説明文に入れないもの:URLやHTMLコードは入れられない。リンクはどのような種類でも使えない
  • 説明文の中身:提供しているサービスや、医院の沿革など、医院に関する情報を中心にする。特別キャンペーンや特別料金を過度に強調しない
  • 投稿の連絡先:確認されていない電話番号・メールアドレス・SNSのハンドル名を含む投稿は、削除されることがある
  • 投稿の画像:投稿する画像が適用される法律や規制に沿っていることの責任は、投稿する側にある

Googleの決まりに沿っていても、医療広告ガイドラインで認められない表現は使えません。反対に、ガイドラインに沿った文章でも、Googleの決まりに合わなければ表示されないことがあります。説明文はチェック表の両方の項目で確かめます。

出典:Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」、Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールを編集する」、Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールの写真、動画、投稿に関するコンテンツ ポリシー」

06

AIや業者の投稿案を公開するまで

AIで作った文章案や、業者が作った原稿は、そのまま公開しません。作る人と承認する人を分け、承認の記録が残ってから公開します。

承認者が差し戻した原稿は作る人が書き換え、事実・素材・表現の確認へ戻る。承認者と承認日を記録した原稿だけ公開する。
差し戻しと承認後の経路
  1. 作る人は、原稿を「下書き」として承認者に渡す。公開の権限があっても、自分の判断だけで公開しない
  2. 作る人が、チェック表の「事実」と「素材」の項目を確かめ、根拠の資料(基準表・料金表・写真の入手元)を添える
  3. 承認者が「表現」の項目と全体を確かめる。治療・費用に触れる内容は院長が確かめる
  4. 書き換えが必要なら作る人に戻し、直した原稿をもう一度チェック表で確かめる
  5. 承認者と承認日を記録してから公開する
  6. 公開後に、患者が見る画面で表示を確かめる
公開前の承認の記録表(架空の医院の例)
公開予定日媒体と内容作った人承認者・承認日結果
2026-10-20Googleの投稿:11月20日の休診のお知らせ受付の担当者(AIの文章案を修正)事務長・2026-10-16事実を確かめて公開する(基準表の日付と一致)
2026-10-22SNS:ホワイトニングの案内制作会社院長・2026-10-17書き換える(「50%オフ」を削り、通常の料金に直して再確認)
2026-10-24公式サイト:インプラントの説明事務長院長・未承認保留する(標準的な費用と主なリスクの記載を待つ)

記録表の例は、架空の医院「みどり台歯科クリニック(架空)」を想定したものです。実在の医院の記録ではありません。

Googleビジネスプロフィールでは、管理者も投稿の作成・公開ができます。業者や担当者に管理者の権限を渡している場合は、権限があっても承認前に公開しない決まりを、依頼の時点で伝えておきます。権限と担当の分け方は「医院情報の更新の分担」の記事で扱っています。

出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)、Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」

07

自院で直す・業者に確認する・保留する

チェック表で引っかかった項目は、誰が原稿を作っているかと、院内で答えが決まっているかで次の行動が変わります。

院内で直し方を決められなければ保留する。決まっていれば原稿の管理者を確認し、自院の原稿は自院で直し、業者の原稿は業者へ確認する。
判断と管理者による対応の分岐
  • 自院で直す:院内で作った原稿で、日付・費用の誤りや、体験談・比較・費用の強調など、書き換え方がはっきりしている項目
  • 今の業者に確認する:業者が作った原稿や、業者が投稿を代行している媒体。チェック表の結果を伝えて書き換えを依頼し、直った原稿をもう一度確かめる。承認前に公開しない決まりが契約や依頼の範囲に入っているかも確かめる
  • 保留する:根拠資料が見つからない数字、術前術後の写真、SNSの投稿が限定解除の要件に当たるかなど、院内で判断がつかない項目。推測で公開せず、院長が判断するまで下書きのまま残す

急ぎの休診のお知らせのように、事実だけを伝える投稿は、基準表と照らし合わせれば短時間で公開できます。治療や費用に触れる投稿は、承認に時間がかかる前提で、公開予定日より前に院長の確認日を決めておきます。

出典・編集について

  1. 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正) ↗確認日:
  2. 厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」 ↗確認日:
  3. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「Google に掲載するビジネス情報のガイドライン」 ↗確認日:
  4. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールを編集する」 ↗確認日:
  5. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールの写真、動画、投稿に関するコンテンツ ポリシー」 ↗確認日:
  6. Google ビジネス プロフィール ヘルプ「ビジネス プロフィールのオーナーと管理者を管理する」 ↗確認日:

本記事は情報整理のためのガイドで、法的・医療的助言ではありません。制度、広告表現、各サービスの仕様は、公開時点の公式情報と医院の実情に合わせてご確認ください。

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