歯科医院の診療ページに載せる情報と書き方。保険・自由診療の書き分け
診療内容のページに、対象となる相談・流れ・費用・期間・主なリスク・担当をどう載せるか。保険診療と自由診療で必要な記載がどう変わるかを厚生労働省の医療広告等ガイドラインで確かめ、院長・事務長が院内で使える点検表と直し方をまとめました。

この記事の要点
- 自由診療は、費用・期間・回数と主なリスクを同じページで示す。
- 「インプラント科」など、法令にない名称を診療科名にしない。
- AI向けの特別な記述より、ページに見える情報を正確にそろえる。
先に結論:載せる・確かめる・直す
この記事は、公式サイトの診療内容のページ(診療ページ)を作る、または見直す院長・事務長のためのものです。患者が受診を決める前に知りたい情報を、医療広告のルールの範囲で、1つのページで読めるようにします。進め方は4つです。
- 診療ごとに、対象となる相談、診療の流れ、保険診療か自由診療か、費用、期間・回数、主なリスク、担当、予約方法を書き出す
- 自由診療は、保険が適用されない旨、標準的な費用、治療期間・回数、主なリスク・副作用を同じページにそろえる
- 診療科名・担当する歯科医師の資格・使う医薬品や機器の書き方が、ガイドラインで広告できる範囲かを確かめる
- 料金や体制が変わったら、診療ページとほかの掲載先を同じ日に直し、患者が見る画面で確かめる
この記事は、厚生労働省の医療広告等ガイドラインと、Googleの公式資料をもとにした情報整理です。個別の表現が法令に適合するかを判断するものではなく、検索やAIの回答で紹介されることを約束するものでもありません。
医療広告ガイドラインの全体像(広告に当たるか・禁止される広告・限定解除)は「医療広告ガイドラインの基本」、1本の文章の表現を公開前にどう直すかは「説明文・SNS投稿を公開する前の確認項目」の記事で扱っています。この記事は、診療ページに何を載せ、どう点検するかに絞っています。
診療ページに載せる項目
次の表は、診療ページに載せる項目と、書くときに確かめることです。「根拠」の欄にガイドラインの該当箇所がない項目は、院内で決めておく確認の例です。
| 項目 | 書くこと・確かめること | 根拠 |
|---|---|---|
| 診療の名称 | 患者に分かる名前で書く。「インプラント科」「審美歯科」のような法令に根拠のない名称を、診療科名として使わない | ガイドライン第3-2の4(2) |
| 対象となる相談 | どのような相談・症状に対応しているか。治るかどうかなどの効果を推測で書かない | ガイドライン第3-2の4(13) |
| 診療の流れ | 検査・説明・治療・通院の順番。治療方針は、成功率や治癒率などの効果を示さずに説明する | ガイドライン第3-2の4(13) |
| 保険診療・自由診療の別 | 自由診療は、保険が適用されない旨(例:「自由診療」「全額自己負担」)を書く | ガイドライン第3-2の4(13) |
| 費用 | 自由診療は標準的な費用を書く。一定の幅や「約〇円程度」でもよいが、窓口で負担する費用が分かるようにする | ガイドライン第3-2の4(13)、第3-3 |
| 期間・回数 | 自由診療は、通常必要とされる治療期間と回数を書く | ガイドライン第3-3 |
| 主なリスク・副作用 | 自由診療は、利点だけを強調せず、主なリスクや副作用も分かりやすく書く | ガイドライン第3-3 |
| 担当する歯科医師 | 氏名・役職・略歴は載せられる。非常勤の歯科医師は、非常勤である旨や勤務する日時を書く | ガイドライン第3-2の4(9) |
| 使う医薬品・機器 | 医薬品や医療機器の販売名は広告しない。治療の方法として説明する | ガイドライン第3-2の4(13) |
| 予約・問い合わせ | 予約の方法と、電話番号などの問い合わせ先。院内の基準表と同じか | ガイドライン第3-2の4(4)、第3-3 |
ガイドラインでは、診療日・診療時間は可能な限り医療広告にも記載するのが望ましいとされ、予約を受け付ける電話番号やウェブサイトのURLを示すことも差し支えないとされています。診療時間や電話番号を診療ページにも載せるときは、ほかのページと食い違わないよう、院内の基準表から書き写します。
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
自由診療でそろえる情報
自由診療の書き方には、2つの段階があります。1つは、保険診療と同じ方法の治療(ガイドラインの例では歯列矯正)や、承認を得た医薬品・医療機器を承認の範囲で使う治療です。これは、保険が適用されない旨と標準的な費用を併記する場合に限って広告できます。麻酔の費用など別にかかる費用や、通常あわせて行う治療がある場合は、それを含めた総額の目安も書きます。
もう1つは、それを超えて治療の内容を詳しく説明する場合です。ウェブサイトなど患者が自ら求めて入手する情報では、限定解除の4つの要件をすべて満たせば、広告できる事項の限定が解除されます。自由診療では、要件のうち次の2つを診療ページで満たします。
- 通常必要とされる治療内容、標準的な費用、治療期間と回数を書く。標準的な費用が明確でない場合は、通常必要とされる治療の最低金額から最高金額(発生頻度の高い追加費用を含む)までの範囲を示す
- 主なリスクや副作用などの情報を、利点と同じように分かりやすく書く
ガイドラインは、自由診療の治療内容・費用等の情報について、リンクを張った先のページに載せたり、利点に比べて極端に小さな文字で載せたりしないこととしています。この記事では、点検をしやすくするため、主なリスク・副作用も同じページに書くことを院内の決まりの例としています。
承認を得ていない医薬品・医療機器を自由診療で使う場合は、承認を得ていないこと、入手経路、国内で承認された同じ成分・性能の医薬品等の有無、諸外国での安全性の情報、公的な救済制度の対象にならないことも書く必要があるとされています。
限定解除の4つの要件の全体と、バナー広告などが要件を満たさないことは「医療広告ガイドラインの基本」の記事で扱っています。
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
担当と診療科名の書き方
担当する歯科医師や診療科名は、ガイドラインで広告できる範囲が細かく決められています。診療ページでよく出る書き方を、次のように確かめます。
- 診療科名:「インプラント科」「審美歯科」は、法令に根拠のない名称として診療科名に使えない。インプラントや審美の治療は、診療科名ではなく診療内容の説明として書く
- 専門医:専門性の資格を書くときは、認定した団体を明記する(例:「歯科医師〇〇〇〇(〇〇学会認定〇〇専門歯科医)」)。単に「〇〇専門医」と書くことは、誤解を与えるものとして誇大広告に当たるとされている
- 研修:研修を受けたことは、広告できる事項とはされていない
- 非常勤の歯科医師:常に勤務しているように見えないよう、非常勤である旨や勤務する日時(例:「火曜と木曜の午後」)を書く
専門医として広告できる資格の範囲は、ガイドライン第3-2の4(9)で決められています。院内で判断がつかない資格の書き方は、公開せずに保留し、院長が判断するか、医療広告の相談窓口で確かめます。相談窓口は「医療広告ガイドラインの基本」の記事で紹介しています。
出典:厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正)
点検表の例:架空の診療ページ
次は説明用の例です。医院名・記載・金額はすべて架空のもので、実在の医院・治療の結果ではありません。「みどり台歯科クリニック(架空)」のインプラント治療のページを、前の表の項目で点検したものです。
結果は3つに分けます。「そろっている」は次の点検で院内の資料と照らし合わせる、「足りない」は院長が内容を確かめて書き足す、「書き換える」はガイドラインで広告できる書き方に直す、です。
| 点検した項目 | ページの記載(架空) | 結果 | 次の作業 |
|---|---|---|---|
| 診療の名称 | 見出しが「インプラント科」 | 書き換える | 「インプラント科」を診療科名として使わず、「インプラント治療」として診療内容の説明に直す |
| 保険診療・自由診療の別 | 「自由診療」と記載 | そろっている | なし(次の点検で料金表と照らし合わせる) |
| 費用 | 「料金表はこちら」のリンクだけ | 足りない | 院長が料金表を確かめ、標準的な費用と、検査・かぶせ物など通常あわせて行う治療を含む総額の目安を書き足す |
| 期間・回数 | 記載なし | 足りない | 院長が説明資料を確かめ、通常必要とされる治療期間と通院回数を書き足す |
| 主なリスク・副作用 | 利点の説明だけで、リスクの記載なし | 足りない | 院長が説明資料を確かめ、主なリスク・副作用を同じページに書き足す |
| 担当する歯科医師 | 「歯周病専門医」とだけ記載 | 書き換える | 資格を認定した団体を明記した書き方(例:「〇〇学会認定〇〇専門歯科医」)に直す |
| 使う医薬品・機器 | インプラント体の販売名を記載 | 書き換える | 販売名を削り、治療の方法として説明する書き方に直す |
| 予約・問い合わせ | 電話番号とWeb予約の案内 | そろっている | なし(次の点検で基準表と照らし合わせる) |
点検表は、点検した日と点検した人も一緒に残します。「足りない」「書き換える」の項目は、直したあとにもう一度同じ表で点検し、「そろっている」になってから公開します。
AI・検索に向けて確かめること
AIの回答や検索結果に向けて、特別な文章を足す必要はありません。Googleの公式資料では、次のことが示されています(確認日は出典の一覧に記載。仕様は変わることがあります)。
- AIによる概要やAIモードのために、特別な最適化を行う必要はない。新たにAI向けのファイルやマークアップ、特別な schema.org の構造化データを追加する必要もない
- 重要なコンテンツはテキスト形式で示す。費用や主なリスクを画像の料金表だけで示していないかを確かめる
- 構造化データを使う場合は、ページに表示されるテキストと一致させる。読者に表示されない内容をマークアップしない
- 構造化データを使っても、その表示が検索結果に必ず出るとは限らない
制作会社が診療ページに構造化データを入れている場合は、費用や診療時間を変えたときに、ページの本文と構造化データの両方が直っているかを確かめます。構造化データの追加は、検索順位やAIの回答での紹介を約束するものではありません。
出典:Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」、Google 検索セントラル「構造化データに関する一般的なガイドライン」
料金・体制が変わったとき
診療ページの費用・担当・診療時間は、ほかのページや掲載先にも書かれていることがあります。変更が決まったら、次の順で直します。
- 院内の料金表・説明資料・基準表を先に直し、院長が内容を確かめる
- 診療ページと、料金表のページ・お知らせなど、同じ内容が書かれたページを同じ日に直す
- 予約システム、Googleビジネスプロフィール、SNSのプロフィールに同じ内容があれば、あわせて直す
- 直したあと、管理画面ではなく患者が見る画面で表示を確かめ、確認日と確認者を記録する
掲載先ごとの照らし合わせ方は「掲載情報の確認ガイド」、変更のたびに誰が作業し誰が承認するかは「医院情報の更新の分担」の記事で扱っています。
なお、記事末でご案内している無料レポートは、媒体ごとの医院名・所在地・電話・診療時間を照らし合わせるものです。診療ページの表現や費用の記載を確認するものではありません。
自院で直す・業者に確認する・保留する
点検で見つかった項目は、誰がページを更新しているかと、院内で答えが決まっているかで次の行動が変わります。
- 自院で直す:医院で更新できる診療ページで、費用・期間・回数・主なリスクの書き足しや、販売名の削除など、直し方がはっきりしている項目
- 今の業者に確認する:診療ページの更新を制作会社に任せている場合。点検表の結果を伝え、どの項目を、いつまでに、どう直すかを依頼し、公開後に医院で表示を確かめる
- 保留する:広告できる資格か、限定解除の要件を満たすかなど、院内で判断がつかない項目。推測で公開せず、院長が判断するまで下書きのまま残す
診療内容や費用の説明は、作る人と承認する人を分け、院長が内容を確かめてから公開します。公開前の承認の記録のしかたは「説明文・SNS投稿を公開する前の確認項目」の記事で扱っています。
出典・編集について
- 厚生労働省「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針(医療広告等ガイドライン)」(令和8年3月30日最終改正) ↗確認日:
- Google 検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」 ↗確認日:
- Google 検索セントラル「構造化データに関する一般的なガイドライン」 ↗確認日:
本記事は情報整理のためのガイドで、法的・医療的助言ではありません。制度、広告表現、各サービスの仕様は、公開時点の公式情報と医院の実情に合わせてご確認ください。
更新履歴
- :タイトルと見出しを短くしました。
- :写真・図を追加しました。
- :厚生労働省の医療広告等ガイドライン(令和8年3月30日最終改正)とGoogle 検索セントラルの資料で内容を確かめ直し、診療ページに載せる項目、自由診療でそろえる情報、担当と診療科名の書き方、架空の診療ページの点検表、AI・検索に向けて確かめること、料金・体制が変わったときの手順を加えて改稿しました。出典と確認日を示し、医療広告ガイドラインの基本・公開前の確認項目・更新の分担・掲載情報の確認ガイドの記事への案内を加えました。